【狛江 重度訪問】ケアの心得 その1
2022/10/01
研修は日中に行うべし
重度訪問介護と高齢者介護の一番大きな違いは、社会参加を目標としているということと夜間の見守りがあるということであろうか。
夜勤に行ってくるという話を知人にした際に、「え?泊まるの?」と驚かれたことが何度あったことだろうか。今回のテーマは、夜勤の仕事であっても、日中に研修をすることをお勧めしたいということである。これは夜勤だけでなく外出支援に関しても、日中の生活支援ができていることを前提に考えた方がうまくいくケースが多いですよという内容です。
これはあくまでも個人の意見ですので、エビデンスがあるものではありません。
「介護」の仕事でおもしろいことの一つに「コミュニケーション」があげられます。それと同時に、「介護」の仕事で難しいことの一つにも「コミュニケーション」があげられます。
特に重度訪問介護対象者のコミュニケーション手法は独特なカタチが多く非言語的コミュニケーションも駆使する必要があります。
さて、前置きはこの辺りにして本題に入りましょう。
人の生活を大雑把に分けますと下記のように分類できます。
1、日中活動
2、余暇活動
3、睡眠
この日中活動は、私たちで例えるなら学校で学んだり、仕事をしたりする活動に相当します。重度訪問介護対象者の日中活動は、自宅で過ごされることが多いです。医療の処置を受けたり、更衣・排泄・整容・食事など全ての日常動作に介護が必要となるからです。
日常動作の全てに介護が必要ということは、全ての行為にその方に必要な手順(マニュアル)が存在します。大切なことは全て利用者から教わったと言っても過言ではないくらい、それぞれの家にそれぞれの工夫とアイデアが盛り込まれています。そして、注意点があります。
つまり、その方が生活していくための基本となっているやり方と考え方は、日中に集約されているということです。これはあくまでも基本であり、全てではなく、最低限の内容である。
では、余暇活動と睡眠は、日中活動と何が違うのか?
まず、余暇活動。
日中活動は、自宅の中ということもあり選択の範囲が限定されています。言い換えるならば、日々の繰り返しから予測しやすいのです。しかし、余暇活動中は、選択の範囲が広がります。相手の好みや思考などをある程度把握していなければ、買い物でさえ困難である。
「え?買い物?」と思われる方も多いかもしれません。
例えば、お刺身を買うとして、何を基準に購入をしますか?
値段は?値下げシールが貼ってあるとどうしますか?量は?手前から取りますか?
この答えは人それぞれであり、その日によっても変化します。
相手が満足し喜んでもらうためには、高度なコミュニケーションが求められます。
これを養うには一つは時間。もう一つは基本となる日中活動に込められた工夫とアイデアを読み取ること。
相手を理解しようと努め続けることである。
次に睡眠。
寝てるだけでしょ?と思われるかもしれませんが、実は余暇活動よりもハードルが高いかもしれませんね。
ただ見てるだけなら誰にでもできるかもしれませんが、重度訪問介護対象者の夜間は医療行為が発生することもあります。本人の睡眠を妨げずに安全に医療行為を行い、脳や身体が起ききっていない中でケアを提供することは本人も思うようにできないケースもあり難しいです。
やはり、日中のベースとなっているケア等を基にして求められていることを予想しながら対応する必要があるのです。そして、これらのことはご家族や当事者の方がヘルパーの研修をする際に大事にしていることとして教えて下さったことです。
「日中のケアができない人に、夜や外のケアを任すのは不安である」
「夜のケアを担当してくれる方であっても、日中の生活を知ってほしい」
重度訪問介護対象者の日中の生活は、その人が生きていくための知恵と工夫の宝庫なのである。
ここをしっかりと汲み取ってほしい。